前科・前歴の意味や生活への影響とは(仕事・旅行編)

犯罪を犯すなどして警察沙汰になると、前科や前歴というものが付く場合があります。それでは、前科、前歴の意味を確認した上で、前科、前歴の生活への影響を見ていきましょう。

前科・前歴の意味や違い

前科とは、前に刑罰に科された経歴を示すものです。犯罪を犯したことにより起訴され、裁判所にかけられた結果、有罪判決が確定すると前科がつきます。有罪判決の種類には、死刑、懲役、罰金、拘留、科料があり、執行猶予がついていたとしても、前科があることには変わりがありません

前歴とは、前に犯罪の捜査をされた経歴を示すものです。逮捕されなくとも、検挙されると、警察官や検察官による捜査が開始するため、前歴がつくか否かに逮捕の有無は一切関係ありません。

前科によって就職が制限されてしまう職業

前科があると法律上就職が制限される職業があります。次の職業については、以下の場合に就職ができないものとされています。これを欠格事由と言います。また、以下の職業に就いている者が犯罪を犯して、欠格事由に該当する状態に至った場合には、当然免職や資格を失うことになります。

  • 裁判官、検察官、弁護士、医師、教員等
  • 公認会計士、司法書士等
  • 税理士等
  • 公務員

また、金融機関の社員などは非常に厳しい身上調査があるなど、前科があると事実上就職が制限される職業があります。

前科等により制限されてしまう海外渡航

前科があると、海外渡航が制限される場合があります。

旅券法上は、死刑、無期若しくは長期二年以上の刑で検挙された人や執行猶予中の人に対しては、パスポートの発給等を制限でき、上記のように検挙された人や禁固以上の刑に処せられた人に対しては、パスポートの返納をさせることができる旨の定めがあります(旅券法第13条第2号及び第3号、第19条第1号)。

また、海外渡航には、本邦の許可だけでなく、渡航先の国の許可も必要ですが、国によっては、前科を有する者の入国を厳しく制限している国もあります。

前歴の場合には法律上の制限はない

他方で、前歴がつく場合には、起訴猶予だけでなく、嫌疑不十分や嫌疑なしの判断がされた場合もあり、無実の罪で検挙された場合も含めて検挙された場合にはすべて前歴がついてしまいます。裏を返すと、このような曖昧な状態の経歴だけをもってして、法律上何らかの制限をすることはできないので、前歴が法律上就職や海外渡航等の生活上の足かせになることはありません

したがって、万が一検挙されてしまった場合には、以上の不利益を避けるため、可能な限り不起訴処分により、前科がつかないようにすることが重要となります。

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