処分にはどんな種類があるのか? どうすれば不起訴処分を得ることができるのか

犯罪捜査の対象となった場合の、処分の種類

警察の犯罪捜査の対象となった場合、いかなる処分をされることがあるのでしょうか。

刑事処分の種類としては、実務上、微罪処分、不起訴処分、起訴処分があります。起訴処分の中で、略式処分、執行猶予、実刑が考えられます。どのような処分なのか、以下で具体的にみてみましょう。

微罪処分ならば、事件は検察に送られない

逮捕するかしないかに関わらず、警察は犯罪の捜査をしたときは、原則として事件を検察官に送致しなければならないとされています(刑事訴訟法246条)。しかし、例外として検察官が指定した事件については、事件を検察に送らなくてもよい場合があります。このような検察に送らずに済む処分のことを、実務上、「微罪処分」といいます。

何を微罪処分とするかは検察が指定しますが、基準は公表されていません。

基本的には、被害が軽微で、すでに被害弁償されていて、被害者がその犯人を罰することを望んでいない場合で、捜査を受けた側としても、前科前歴がないなど、素行が良好であることが挙げられます。具体的には、被害額が小さい窃盗、所有者がわからない自転車を取ること、低額の無銭飲食、暴行などが考えられます。

微罪処分となった場合には、その後、罰金、刑罰等の処分を課されることはありません。また、通常、微罪処分となったことは個人情報であるため、微罪処分になったことが仕事先に知られるなどの不利益もありません。

不起訴処分ならば、前科はつかない

ご説明したように、警察が犯罪を捜査したときは、原則として事件を検察官に送致します。検察官は事件が送致されると、送致された事件について、処分を決定します。検察官が裁判にかける事件、罰金を支払わせる事件ではないと判断した場合、不起訴処分になります。不起訴処分となると、前科はつきません

不起訴になる理由は、通常「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」の3種類があります。「嫌疑なし」とは、捜査をした結果、被疑者が犯人でないことが明白になった場合です。「嫌疑不十分」とは、捜査をした結果、被者が犯人でないことが明白とはならないものの、裁判において有罪の証明をすることが困難と考えられる場合です。

「起訴猶予」とは、捜査の結果、裁判では有罪の証明をすることが可能であっても、被疑者の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重や犯罪後の情況(被害弁償や示談の成立など)により、検察官の判断で不起訴とする場合です。

罰金刑(略式裁判)からは前科がつきます

略式裁判とは、通常の裁判と比べて手続きが簡略化された裁判です。100万円以下の罰金の場合で、本人が略式裁判に同意した場合、略式裁判の請求が検察官により、なされることになります。

残念ながら、起訴処分の一種なので、前科はついてしまいます。もっとも、通常の刑事裁判では、公開の法廷で審理が行われますが、略式裁判の場合には、裁判所へ行かなくとも、罰金を納めることにより、手続きが終了しますので、周りに知られる可能性はほぼありません。

略式裁判のデメリットとして、自己の言い分を述べることができないことがありますが、被疑事実を全て認めている場合には、公開の裁判ではない略式裁判で全く問題ありませんし、メリットの方が大きいと考えられます。

公判請求がされると、公開の法廷で審理される

検察官により、公判請求がされると、公開の法廷で審理されることになります。また、公判請求がされ、犯罪が成立することが裁判官により認定されると、前科がつくことになります。

犯罪の捜査の対象となっている場合には弁護士にご相談を

犯罪の捜査の対象となってしまった場合には、まず本人が犯罪事実を認めているか、認めていないかにより対応が異なります。犯罪事実を認めていない場合には、捜査機関に対抗するためには、弁護士に早めにご相談された方がよいでしょう。

また、犯罪事実を認めている場合でも、弁護士にご相談することで、示談等の交渉をしてもらい、早期に釈放される、または処分を軽くすることが可能になります。具体的には、示談等をして、前科のつかない不起訴を目指す、起訴されてしまう場合でも公開の法廷では審理されない罰金刑(略式裁判)を目指す、公判請求されてしまった場合には、執行猶予を目指すという活動をすることが可能となります。

ぜひ、お早めに弁護士に一度ご相談ください。

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